潜在保育士の復職ガイド|一番ほしい支援は「入職前に職場を知る機会」

潜在保育士が復職前後にほしい支援の1位は「入職前に実際の職場を知る機会」(41.8%)。就職準備金の貸付、保育士・保育所支援センター、段階的な復帰の探し方、見学・お試し勤務の使い方をまとめました。

公開 ・更新

この記事の「知らないと損」ポイント
  • 潜在保育士が復職前後にほしい支援の1位は「入職前に実際の職場を知る機会」(41.8%)
  • 潜在保育士の再就職には就職準備金の貸付(上限40万円)があり、再就職後2年間働くと返還が免除される(条件あり)
  • 都道府県の保育士・保育所支援センターは2025年10月に法定化。復職研修や職業紹介の窓口になる
  • 保育士の求人は1月ごろがピーク。4月入職を目指すなら秋から動くと選択肢が多い

「資格はあるけれど、ブランクが長くて不安」「子どもが大きくなったので、また保育の仕事をしたい」。そんな“潜在保育士”の人に向けて、復職の前に知っておくと得をする支援と、職場の選び方をまとめました。

潜在保育士はどのくらいいる?

保育士として登録している人は約199.0万人(2026年4月1日)。一方で、社会福祉施設等で働く保育士は約67.5万人(2024年)です。登録していて施設で働いていない人は約123万人(2024年10月)とされています。

数字の読み方: 「約123万人」には、認可外保育施設や幼稚園で働いている人、登録の抹消届が出ていない人なども含まれます。全員がすぐ働ける人という意味ではありません(こども家庭庁の資料の注記による)。

保育士を辞めた理由として多かったのは「職場内の人間関係・ハラスメント」(19.8%)、「結婚」(18.7%)、「健康上の理由(体力含む)」(16.4%)でした(潜在保育士2,008人が回答した2025年度の調査)。

復職前後にほしい支援、1位は「職場を知る機会」

41.8%「アルバイト等で入職前に実際の職場を知る機会」があるとよい、と答えた潜在保育士の割合(1位)。保育の仕事を離れた人に限ると46.8%
40.8%「クラス担任以外から徐々に経験を積める配置」があるとよい(2位)

同じ調査のグループインタビューでも、「入職前に数日〜1週間程度、職場を体験できるとよい」という声が複数あったと報告されています。ブランクのある人にとって、いちばんの不安は「その園でやっていけるか」が分からないことなのかもしれません。

この調査は「どんな支援がほしいか」を聞いたものです。「入職前に体験した人ほど長く続く」ことを示したデータではありません。ただ、求人票や面接だけでは分からない職場の実際を、入職前に知る方法にはなります。

知らないと損① 就職準備金の貸付(上限40万円)

都道府県・指定都市が行う「保育士修学資金貸付等事業」には、潜在保育士の再就職を支援するメニューがあります。国の資料(令和8年度予算案の概要)では次のとおりです。

項目内容(国の基準)
対象潜在保育士(保育士資格を持ち、保育士として働いていない人)
貸付額就職準備金 40万円まで
返還免除の条件再就職後、2年間 保育士として実務に従事すること
実施都道府県・指定都市(募集時期・申請先・細かい条件は自治体ごと)
2024年度の貸付決定1,372人

これは「もらえるお金」ではなく「貸付」です。条件どおりに働けば返さなくてよくなりますが、途中で辞めたり条件を満たさなかったりすると返還が必要になる場合があります。また、令和8年度の募集から、家庭の経済状況に関する要件が具体化されました。お住まいの都道府県の窓口で、対象になるか・いつ申し込むかを必ず確認してください。

ここがポイント

募集期間や申請のタイミングは自治体ごとに違います。就職先を決める前後で慌てないよう、早めに募集要項を見ておくと安心です。

知らないと損② 保育士・保育所支援センター

保育士・保育所支援センターは、2025年10月に法律に位置づけられ、都道府県には設置が義務になりました。全国に75か所(2025年12月)あり、職業紹介や復職研修、就職後の相談(伴走支援)などを行っています。センターを通じた就職は2024年度に4,708件でした。

ブランクが長くて手遊びや記録の書き方から学び直したい人は、復職研修の有無をセンターに聞いてみましょう。

「まずは補助から」も選べる

2位の「クラス担任以外から徐々に」という希望に関係するのが、園が保育補助者を雇う費用を国と市区町村が補助する「保育補助者雇上強化事業」です。対象には、資格はあるが保育士として働いていない潜在保育士も含まれます(段階的な復帰の足がかりという位置づけで、補助の対象期間は1年まで)。

ただし、この補助を使うかどうかは園と市区町村しだいです。「最初は補助やフリーの立場から入れますか?」と見学のときに直接聞くのが確実です。

いつ探す? 求人は1月ごろがピーク

保育士の有効求人倍率は2.80倍(2026年7月。全職種は1.15倍)。毎年、4月入職に向けて秋から求人が増え、1月ごろにピークを迎えます(2026年1月は3.88倍)。

4月からの復職を考えているなら、秋ごろから見学を始めると、比べられる園が多くなります。反対に、急がない人は年度途中の採用を狙うのも一つの方法です。

見学・お試し勤務で復職の不安を小さくする5ステップ

  1. 働ける条件を書き出す: 週何日・何時まで・土曜は? 子どもの預け先は?(子育てとの両立)
  2. お金の制度を確認する: 就職準備金の貸付、宿舎借り上げ、年収の壁(パート保育士の年収の壁)
  3. 2〜3園を見学する: 休憩の取り方や職員の雰囲気は、実際に見ると分かることが多い(チェックリスト)
  4. お試し勤務で1日働いてみる: 子どもとの距離感、1日の流れ、体力的に続けられそうか
  5. 段階的な入り方を相談する: 補助・フリーから始められるか、担任を持つ時期はいつか

出典・参考にした資料

  1. 保育士等の意識及び業務負担軽減に関する調査研究(令和7年度)調査結果概要(三菱UFJリサーチ&コンサルティング(こども家庭庁 委託), 2026年3月)
  2. 基礎資料(保育人材の確保のための総合的な対策)(こども家庭庁, 2026年3月版)
  3. 令和8年度 保育関係予算案の概要(こども家庭庁, 2026年1月)
  4. 保育士登録者数等(男女別)(こども家庭庁, 2026年6月)
  5. 保育士の有効求人倍率の推移(R8.7)(こども家庭庁(元データは職業安定業務統計), 2026年9月)

数字と制度は上の資料をもとに2026年9月時点でまとめています。制度は改正されることがあり、自治体・勤務先によって条件が違います。実際に使うときは各窓口で最新の情報を確認してください。

まずは見学・お試しから(無料)