保育士の処遇改善等加算と手当のしくみ|給料に届く仕方は園によって違う
保育士の処遇改善等加算は2025年度から3区分に。副主任・リーダーの月最大4万円、公定価格の人件費の引き上げ、園のモデル給与の公表(ここdeサーチ)、手当の税金までを保育士目線で整理します。
公開 ・更新
- 処遇改善等加算は園に入るお金。一人ひとりの給料がいくら上がるかは、園の配分しだい
- 副主任・リーダーなどへの「区分3」は月最大4万円。2025年度からは園の判断で柔軟に配分できるようになった
- 私立の保育所等のモデル給与は都道府県が公表する仕組みに(ここdeサーチ)。見学の前に調べられる
- 住宅手当(現金)は課税、通勤手当は税は非課税でも社会保険料の計算には入る。手当の中身で手取りが変わる
ニュースで「保育士の給料が上がる」と聞いても、自分の給与明細にどう届くのかは分かりにくいもの。ここでは、私立の認可保育所などで使われている処遇改善等加算のしくみと、園を選ぶときに見ておきたいポイント、手当の税金の違いを整理します。
保育士の給料、いまどのくらい?
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2025年)では、保育士(一般労働者)の毎月の給与は28.57万円、年間賞与は84.79万円でした。上の「年収換算」はこれを「月給×12+賞与」で計算した推計値で、公式の年収ではありません。
こども家庭庁の集計では、役職者を除く保育士の月収換算は34.3万円、全産業は39.6万円(2025年)。差は2012年の8.7万円から5.3万円に縮まっていますが、まだ差があります。
国は人件費をどれだけ上げた?
私立の保育所等の運営費(公定価格)に含まれる人件費は、人事院勧告にあわせて引き上げられています。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2024年12月適用 | 人件費 +10.7%(過去最大) |
| 2025年12月適用 | 人件費 +5.3%(2025年度補正予算)。2026年度も引き続き確保 |
| 2013年度から累計 | 約39%(予算上の単純合計) |
注意: これは園に支払われる公定価格の人件費の改定率です。「すべての保育士の給料が5.3%上がる」という意味ではありません。どれだけ給料に反映されるかは園の給与規程や配分によります。公立保育所の保育士は自治体の給与条例で決まります。
処遇改善等加算の3つの区分(2025年度から)
2025年度から、それまでの加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲが一本化され、3つの区分になりました。
| 区分 | 何のため? | 主なルール |
|---|---|---|
| 区分1 基礎分 | 経験に応じた昇給 | 職員の平均経験年数に応じて加算率2〜12%。キャリアパスの仕組みが要件に |
| 区分2 賃金改善分 | 全職員のベースアップなど | 平均経験年数により6%または7%+旧加算Ⅲ分(9千円×人数) |
| 区分3 質の向上分 | 副主任保育士・職務分野別リーダーなど | 月額4万円/5千円×算定人数。研修修了などが要件。1人4万円を超えない範囲で、園の判断で柔軟に配分できる |
区分2と区分3の合計額の2分の1以上は、基本給か毎月決まって払われる手当に充てることになっています。ボーナスや一時金だけで払うことはできません。
2025年度から「4万円を受け取る副主任等を1人以上置く」という要件がなくなり、区分3は園の判断で柔軟に配分できるようになりました。同じ役職でも、園によって手当の額が違うことがあります。見学のときに「リーダーの手当はいくらですか」と聞いてみましょう。
園のモデル給与は公表される時代に
2025年度から、保育所等は毎年の経営情報(収支・職員の給与など)を都道府県に報告し、都道府県がモデル給与や人件費の比率を施設ごとに公表する仕組みができました(「ここdeサーチ」)。報告しない施設は、2026年7月から減算の対象になります。
気になる園があれば、見学の前に公表されている情報を見ておくと、質問のポイントが絞れます。
児童指導員・放課後等デイサービスで働く人は
放課後等デイサービスや児童発達支援は障害福祉サービスなので、保育所の処遇改善等加算ではなく、障害福祉サービスの処遇改善加算の対象です。2026年6月の臨時改定(+1.84%)で処遇改善加算が拡充されました。一方、同じ2026年6月1日以降に新しく指定された放デイ・児発の事業所は、基本報酬が少し低い単価になっています(2027年度の改定まで)。
ここでも、加算は事業所に入るお金です。どれだけ給料に反映されているかは、事業所に確認しましょう。
手当の税金と社会保険、どう違う?
「手当が多い職場」を選ぶときは、手当の種類で税金や社会保険料の扱いが違うことを知っておくと、手取りの見通しが立てやすくなります。
| 手当 | 所得税・住民税 | 社会保険料の計算 |
|---|---|---|
| 基本給・処遇改善の手当・残業代 | 課税 | 含む |
| 住宅手当(現金) | 課税 | 含む |
| 通勤手当(電車・バス) | 1か月15万円まで非課税 | 全額含む |
| 宿直料・日直料(児童養護施設など) | 1回4,000円まで非課税(条件あり) | 含む |
| 食事の支給(給食など) | 本人が半分以上払い、園の負担が月7,500円以下なら非課税(2026年4月1日以後) | 都道府県ごとの価額で含む |
- 宿直料の非課税は、通常の勤務時間内の宿直や、代休がある宿直、給与に比例して決まる宿直料には使えません。交代制の夜勤の手当は通常の給与として課税されます。
- 社会保険料は、原則として4〜6月の給与の平均で9月から1年間の額が決まります。この時期に残業や手当が多いと、その後の保険料が高くなることがあります。
- 社宅・寮の扱いは宿舎借り上げ支援の記事で説明しています。
出典・参考にした資料
- 令和7年賃金構造基本統計調査(厚生労働省, 2026年3月)
- 基礎資料(保育士・幼稚園教諭等の処遇改善)(こども家庭庁, 2026年3月版)
- 令和7年度以降の処遇改善等加算について(こども家庭庁, 2025年10月)
- 令和8年度公定価格・基準等の見直し事項(こども家庭庁 成育局保育政策課, 2026年4月)
- 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について(障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(厚生労働省), 2026年2月)
- タックスアンサー No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当(国税庁, 2026年)
- 所得税基本通達28-1 宿直料・日直料(国税庁, 2026年)
- タックスアンサー No.2594 食事を支給したとき(国税庁, 令和8年4月1日現在法令等)
- タックスアンサー No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき(国税庁, 令和8年4月1日現在法令等)
- 厚生年金保険の保険料(日本年金機構, 2026年)
数字と制度は上の資料をもとに2026年9月時点でまとめています。制度は改正されることがあり、自治体・勤務先によって条件が違います。実際に使うときは各窓口で最新の情報を確認してください。